開催:2024.02.11
「ビルドアップ講座⑤」レポート ライター:はまかぜポートレイト
普段から興味のあるアートイベントに参加することが多く、今回も講座の内容に惹かれて参加しました。インタビュー記事制作が文化芸術活動に役立つ可能性があるのか、考えるためのヒントになればと思いました。
「宇宙 日本 浜松」
日時:2024年2月11日(日)
場所:アクトシティ浜松 研修交流センター51研修交流室
「わたし」という主体から考えたうえで、「わたしたち」を考えていく
主体になって活動をしていると、どうしても足元ばかり見がちだ。しかし、社会に開いた活動をするとき、自分の活動がどういう意味をもつのか、客観的に考えてみる必要がある。さまざまなアート、環境関係のプロジェクトを展開し、日本各地の芸術祭のディレクター、プロデューサー等を歴任する芹沢高志さん(P3 art and environment 統括ディレクター)を講師に招き、俯瞰して見る目をどこまで遠くに飛ばせるかを考える。講義のあとには、受講者の企画発表を行った。
「自分の考えていることをどこまで遠くに飛ばせるか。そのことによって、いろんな人を巻き込んで、予想もしなかった出来事が起こることは、自分の経験としてもある。」と清宮さんは語る。
芹沢さんは自身がアートに関わるようになったきっかけやランドスケープへの関心、また、2023年に開催された「さいたま国際芸術祭2023」のテーマ「わたしたち」についても言及。「わたし」という主体から考えたうえで、「わたしたち」を考えていく必要性を訴える。
「この講座でも何度も話題になる。助成金をとるときにも「わたしたち」を主題に持たせないといけない。「わたし」と社会との関わりをどう整理していくか。コロナ後の世界を作っていくうえでも、最も重要なんじゃないか。」と清宮さんも賛同する。
いよいよ受講者の発表。5回の講座を通してブラッシュアップした企画案をプレゼン。1組10分で、全7組が発表した。発表に対し、清宮さん・芹沢さんから質問やアドバイスが行われた。
芹沢さんは、総評として
「一過性のイベントも多い。だけど、皆さんのイベントはサステナブルな活動にしていこうという意識が感じられた。継続していくには、苦しくなることもある。いろんなことを言われたり、お金の問題があったりして、めげちゃうことも多い。そんなときに、『なぜ始めたんだっけ?』というところまで戻れると、『やっぱりもう一回やってみよう』と思えるんですよね。この感覚を生んでいくことが大切です。」と語った。
講座の終わりを、清宮さんは次のように締めくくった。
「How Toをお伝えするというよりは、ひとりひとりの核にあるものをどう探していくか。その背中を押せるような講座になったらいいなと思って、芹沢さんをはじめ、いろいろな方に来ていただきました。『なぜかそれをやらざるをえない人の魅力』も伝わったと思う。僕自身も楽しめました。みんな浜松のことが好きで、『じゃあ、どうしたらいいんだろう』ってわいわい話してつくっていく。そういう面白さが生きて行くことと密接に繋がっているんじゃないかと思います。コロナもあったけど、それでもなお、人を巻き込んでやろうという感覚を持った方がこれだけいます。ぜひ続けて行って欲しいと思います。今後が楽しみです。」
終了後、ある受講者は感想をこう話す。
「日本を代表するアートディレクターの方に自分のイベントについてアドバイスいただけて、貴重な機会になりました。また、講師陣だけでなく、色々なジャンルの方、もしかしたら自分を助けてくれるかもしれない方と出会えたことも大きいです。」
講座を通して出会った人たち同士がお互いのイベントに参加し合うなど、交流も生まれているようだ。浜松のアートシーンが新たな動きを見せていきそうだ。
知り合いの作家や職人、個人でお店を開いている方などにお話を聞き、インタビュー記事を制作しています。肖像画(ポートレート)を描くように「人」に焦点をあてて発信することで魅力を伝えられないかと思い、立ち上げました。記事は、Web上のメディアプラットフォームで公開しています。取材するなかで価値観を共有いただき、「こんなことも一緒にできそう」と活動が広がっていくこともあり、楽しさを感じています。細く長く、続けて行きたいです。