アーティストが見出す、郷土玩具継承における新たな可能性
取組概要
アーティスト山本辰典による、「浜松張子」をもとにした張り子の技法を用いたお面制作授業の実践と、それらの成果発表および、紙を使った作品の展覧会。一度途絶えてしまえば、再び日の目をみることが難しい地域文化の継承にスポットを当て、技術を継承していくことだけではなく、浜松市民の記憶に残し伝わり続けていくことで継承に繋がるのではないかという1つ可能性に向き合う、アーティストの思考と実践。
事業成果
補助金採択事業として、教育現場での「浜松張子」を主軸とした授業立案を経て、実際に浜松市立村櫛小学校で授業を行うことで、事例を積み上げることができた点は成果と捉えられる。将来的にはこの授業プログラム自体が教育現場で活用していただきたいとの想いがあるため、実現に向けた準備をまた1段回進めることができた。また、展覧会では期間中在廊し、来場者の方々と対話する中で、浜松の地域文化に関してより深い理解を得ると共に、今後アーティストとして作品を制作する際のヒントを得ることに繋がった。
今後の展開・展望
本事業の「浜松張子」のみならず、静岡県内には「静岡張子」や「清水張子」といった郷土玩具も存在している。最終的には、これらの状況を含めた地域文化を伝承できるような方法を模索しながら目標達成に向け、着実に成果を蓄積しアーティストとして成果発表を続けていく。本事業の授業実践プログラムに関しても、その方法の1つとしてかたちにしたいと考えている。
浜松アーツ&クリエイション
事務局より
山本さんは、地域に根づいた文化をテーマに、作品やインスタレーションを通じて表現を行うアーティストでありながらも、大学で教育に関わる職を志す大学生を指導する教育者でもあります。1つのテーマに複数の観点からアプローチしていくことで、単一的な普及啓発に留まらない独自かつ多面的な事業展開が実現しました。今回の事業を通じて関わった全ての人々の記憶に確かなものとして、「浜松張子」の歴史や魅力が蘇った、新たに刻まれた、と実感すると共に、アーティストが担う社会的役割の新たなかたちが見えてきました。