2022.12.21INTERVIEW
グラフィックデザイナー/アーティストのTORU DSGN(トオル)さんにお話を伺いました
抽象的でありながらも、はっきりと見た人の印象に刻まれるPOPなグラフィックやカラーリング。時にはファンタジック、ノスタルジックすら漂う、イラストレーションやコラージュ作品の数々。
独特な世界観とセンスで作品を生み出す、TORU DSGN(トオル)さんにお話を伺いました!
―ご自身の活動について教えてください。
2018年よりInstagramを活動拠点に、グラフィック・イラストレーションやデジタルコラージュ等の手法で制作した作品を投稿しており、スケッチ感覚な作品ですがこれまでに300点ほど手掛けてきました。基本的にはInstagramでの作品投稿がメインですが、市内のライブハウスで展示イベントを開催するなど地元でもひっそりと活動をしています。
( TORU DSGN デジタルコラージュ「強さと雅」)
―作品のテーマやモチーフについて
作品をInstagramに投稿し始めた時は、自分のネガティブな感情を作品に昇華するようなかたちでスタートしました。しかし、そのように作品を制作していくと案外、自分の中に「負の感情」があまりないことに気が付きました。そこからは好きなアーティストの曲を聴いてそれをモチーフとしたり、生活の中での気づきを作品のテーマとしたりと様々です。
( TORU DSGN デジタルコラージュ「遠吠えの色」)
―作品制作のルーツ
元々絵を見たり描いたりすることは好きでしたが、ターニングポイントとなったのは、高校時代に美術の授業で先生から、自分は創作活動が向いているとデザイン系の学校への進学を勧められた時でした。これがきっかけとなり、グラフィックデザイナーとしての道を歩むことを決めました。さらにより深くルーツを探ってみると、幼少期に擦り切れるまで見ていたビデオ作品「AND1 Mixtape(バスケットボールの映像と音楽がMIXされている映像作品)」や、漫画家井上雄彦先生の『スラムダンク/バガボンド/リアル』を人生の教科書として過ごしてきました。これらが制作と関係している点は、例えば、AND1 Mixtapeは収録された映像は勿論ですが、パッケージのデザインやアートワークにインスパイアされていますし、井上先生の漫画からは、1コマ1コマの構図やデザイン、質感表現等が私の絵作りの根幹となっています。また、雑誌「WIRED」のデザインや各号のテーマも、自身の制作スタイルに影響を受けています。何か特定のというよりは、様々なかたちで自分と関わっていた物事の中にルーツがあるように思います。最近は、日本画が描き出す、ぼやけた感じや特徴的なグラデーションに魅了されて、画集等を集めるようになりました。
(AND1 THE MIXTAPES SERIES)
―News Letter 10の表紙をご担当いただきましたが、今号のテーマであるイメージとどのように向き合いましたか?
イメージとは?と検索してみると、心の中に思い浮かべる姿・像・情景・心象などと出てきます。その像を心に描くこと、そのものの有様を示す大体の感じ、だそうです。私は、ビジュアルを作る時、はっきりとしたイメージは無くテーマもあやふやな状態から、まさに大体こんな感じだろうと作りだしてしまうタイプなんですが、今回はその見切り発車する時のあやふやな頭の中のイメージを風景としてビジュアル化してみました。
(News Letter 10表紙作品)
―今後チャレンジしてみたいことはありますか?
変わらないスタンスとしては、「自分の好きなものをちゃんと意識しながら、それらと寄り添うことで得られる衝動を逃さずに作品をつくること」があります。自分の好きなことを続けていったらそれに興味を持ってくれる人がきっと現れるから、そういう人に常に何かを見せられる状態に自分の身を置いておく、自分の好きなことをとりあえず貫いておくことを維持できたら喜ばしいです。今後としては、作品を見てくれた人たちとオンライン・オフライン問わずにコミュニケーションをどんどん取っていきたいと思います。
また、Instagramに作品を投稿すると国内よりも海外からのコメントやリアクションが非常に多かったので、海外の方々とコミュニケーションがちゃんと取れるように、英語の習得にチャレンジしたいと思います。
<TORU DSGN profile>
1988年、静岡県浜松市生まれ。印刷会社デザイン制作部に所属する傍ら、グラフィック・イラストレーション・デジタルコラージュ等の表現方法で作品制作を行う。海外のクリエイターと交流を持ちたく、2018年からInstagramで作品投稿をはじめる。投稿を続けるにつれ反応の良さに驚き創作に没頭。SNSを通して世界中のクリエイターとコミットする楽しさを知り、現在も会社勤務をしながら創作を続けている。