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2022.09.07INTERVIEW

株式会社ティーケー.カンパニー 代表取締役 高林徹さんにお話を伺いました

浜松アーツ&クリエイションでは、浜松市内で活動する団体・アーティスト・企業の皆様の

活動について、お話を伺い市内の様々な文化の現状を調査する「ヒアリング調査」を行っています。

その活動の一環で、浜松市内に拠点を置きミニチュアカーの制作・販売を行う

株式会社ティーケー.カンパニーの代表取締役の高林徹さんにお話を伺いました!

 

「ものづくりのまち」浜松にヘッドオフィスを構え、世界中の自動車ファンに向けて販売を行う、

超精巧ミニチュアカー「ignition model(イグニッションモデル)」。

自動車好きな方、必見です。

 

-ものづくりのまち浜松から生まれる一流ミニチュアカー

A&C 縣 それでは早速ですが、株式会社ティーケー.カンパニーさんについて、どのような商品を販売しているのか教えていただきたいです。

 

高林 当社では主に、日本の旧車(※)にカスタムを施した車種を1/18、1/43、1/64などにスケール化したミニチュアカーを制作し販売しています。私自身が幼い頃からトミカやタミヤの自動車のプラモデルが大好きでそれを通じて車のこともどんどん好きになっていきました。その後、自動車模型の開発に携わりたいと思い、念願の株式会社タミヤに就職しました。その後、コナミ株式会社をはじめとした玩具メーカー数社に勤務した後、2013年に株式会社ティーケー.カンパニーを設立して、今に至ります。

 

「1/18 Mazda RX-7(FD3S)Yellow With Engine」車体+エンジンがセットになった限定モデル

※1/18 スケールの車体寸法:全幅 100mm 全長 230mm 高さ 65mm

 

A&C 縣 ミニチュアカーというと、他社のメーカーからも数多くの商品が販売されていますが、「イグニッションモデル」のどういった特徴が車を愛してやまないファンを魅了しているのでしょう?

 

高林 商品の特徴としては、3Dスキャナーを使って実車を読み込み、そのデータを元にデザイナーが1台1台デフォルメしていくという制作工程を経ている点です。3Dスキャナーを使用することで、実車から正確なデータを得ることができます。また、効率よく制作することができるため、ハイクオリティを維持しながらも月に20台~30台のペースでリリースすることができています。

それと、他社のミニカーと一線を画す要素が、「カスタム」を施した車を商品化していることです。「カスタム」とひとえに言っても、車種や時代の流行、その車が活躍しているシーン(レース・ラリー・ストリート・峠など)によってカスタムの方向性は全く違いますよね。そういったカスタムの文化・歴史を正しく商品に反映させるために、実際に車を所有しているオーナーの方や自動車のチューニングショップ・メーカーを日々取材したり、自動車のイベントに会社として参加しブースを構えて、訪れた人々と情報交換を行ったりしています。そうして、時代・流行・シーンに「ハズせない」カスタム・仕様を正確に反映させたミニチュアカーを制作することで、車好きの方々にも、ご納得いただける、共感していただける商品に仕上げています。

 

不動の人気を誇る「1/18 SKYLINE 2000GT-R(通称:ハコスカ)」のノーマルとカスタム仕様の比較。

上段がノーマル。下段がカスタム仕様。

 

-玩具ではなく、大人の趣味として

A&C 縣 なるほど。私も車好きとして、とても共感できる部分が多いです。自動車をカスタムする文化は、幅広く、そして奥深いので、それらを正確に反映させたミニチュアカーを制作していることは、自動車の文化を知る上で大変意義を持つと思います。高林さんがそのようなハイクオリティを誇るミニチュアカーをつくりたいと思った背景にはどのような経緯や想いがあったのでしょう?

 

高林 タミヤやコナミに勤務して、商品開発やマーケティングをしていた際に、自分が大好きな車関連の玩具をつくることに関わっていました。大変やりがいのある仕事でしたが、一方で、「玩具=消耗品」であることにさみしさを感じました。玩具は、子供に楽しんでいただけますが、やがて壊れたり、捨てられたりしてしまう、消耗品としての側面が否めません。そのような経験から、大人に向けた、生涯大切に楽しんでいただけるようなハイエンドなミニチュアカーをつくりたいと考えたことがこの仕事に対するきっかけであり、想いです。高尚な趣味として、コレクションする楽しみを感じていただけるよう、再生産は行わず、同じ車種でも都度違ったカスタムの仕様で異なる品番で受注生産していることもこだわりの1つです。

 

「蒐集する」過程を楽しむことができるのも、魅力の1つ。

 

-ハイエンドなミニチュアカーの「遊び方」

A&C 縣 「イグニッションモデル」のミニチュアカーはパッケージから取り出さなくても、クリアケース越しに鑑賞できるデザインになっていますね。これならコレクションとして綺麗に飾ることができそうです!

 

高林 もちろん、クリアケースのまま飾って楽しむことも1つです。ただ、商品を制作している側からすると、ぜひ「箱から出して、台座から外して」楽しんでほしいなと思います。1台1台、本当に細部までこだわり抜いて制作しているので、間近で鑑賞してみてください。あとは、ミニチュアカーの楽しみ方の1つとして、最近ではジオラマと一緒に飾って写真を撮る方も増えてきています。

イグニッションモデルの公式Instagramでは、毎年、商品を使ったフォトコンテストを実施していて、年々世界中からご応募いただいています。ミニチュアカー専用のジオラマをつくり写真を撮ったものや、ドリフトしているワンシーンを切り取って再現したものなど、創意工夫を凝らした色々な楽しみ方をされていますよ。

 

商品の車体は、台座から外さなければ見ることのできない裏側まで忠実に再現されている。※製品は1/12スケール

 

イグニッションモデル公式Instagramより、「イグニッションモデルフォトコンテスト」による2021受賞作品。(実車イベント風)

※製品は1/18スケール

 

-浜松に拠点を構えて

A&C 縣 フォトコンテストの開催などは、時代にマッチしたミニチュアカーの新しい楽しみ方の提案だと思います。今後さらに盛り上がりを見せそうですね。ここまで、ティーケー.カンパニーさんが行うものづくりについてお聞きしてきました。浜松も「ものづくりのまち」と呼ばれますが、高林さんはなぜ浜松にヘッドオフィスを構えられたのでしょうか?

 

高林 元々私が浜松市出身ということもありますが、浜松には豊かなロケーションがある点に非常に魅力を感じています。というのも、ミニチュアカーを制作するためには、実車を知る、実車に触れることが大変重要だと考えています。私含めスタッフ一同車好きですから、天竜・三ヶ日・浜名湖・弁天島といった様々なドライブスポットが存在することは大きな利点です。天竜区春野町でも自動車のミーティングが開催されていますし、「車好き」な方が多い印象です。あと、もう1つ思うことは、浜松には、ヤマハ、スズキといった有数のオートバイ・自動車メーカーがあって、そういった方々と仕事をさせていただく機会やものづくりに関わることができる環境が浜松にはあると思います。その方々と仕事をしているとものづくりに対する熱量、想いが共通していることに改めて気づかされます。

 

Z(S30)はフェアレディZの父 故 片山豊 氏の故郷 浜松でも人気の車両。※製品は1/18スケール

 

A&C 縣 浜松市は、「ものづくりまち」と言われ、オートバイや楽器製造が有名なイメージがありますが、その他にも「イグニッションモデル」という精密ミニチュアカーを世界に向けて販売している会社のヘッドオフィスがあり、自動車文化の一端をけん引していることをご存知でしたでしょうか。この他にも浜松市内では、様々なものづくりに取り組む人々がたくさん活動を行っています。浜松アーツ&クリエイションでも引き続きそのような方々をご紹介していきますので、お楽しみに!!

 

株式会社ティーケー.カンパニー

〒431-3121 静岡県浜松市東区有玉北町2071

TEL:053-545-3436

公式HP:https://ig-model.com/商品情報はこちらからご覧いただけます!!

公式Instagram:https://www.instagram.com/ignitionmodel/

※オフィスでのモデルカーの販売はおこなっておりません。